「未来への大分岐」を読んでみた

  この本を読んでみた。
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 なぜこの本を読んだかというと、安倍首相が退陣した時の国民の反応に、どうも私の中でモヤモヤした物があり、ネット上を探していたら、朝日新聞のネット上にある「論座」という雑誌?に、
「安倍政権の7年余りとは、日本史上の汚点である」―私たちの再出発は、公正と正義の理念の復活なくしてあり得ないー
 という論がある事を知り、深く共感した。この著者の白井聡という人の「国体論・菊と星条旗」という本は以前に読んで知っていて、その印象が何か若く純粋な右派というか愛国者のような学者なのかなあ~と思い込んでいた。
 良く分からないが、ちょうど「内田樹」のような感じの思想家だと思っていた。

 ところが、白井聡のツイッターを見ると、「武器としての資本論」という本を出版している事もわかった。
この本。
https://str.toyokeizai.net/books/9784492212417/
 そこで、興味を感じて自分でもこの本を読んでブログに感想を書いてみたりした。
https://js30.at.webry.info/202009/article_11.html
白井聡は、本格的なマルクス研究者でもある事が分かり、マルクスの資本論は、現代でも大きな意味を持った思想であることが理解された。

 さらにユーチューブを見ると、
斎藤幸平×白井聡トークイベント(斎藤幸平・編著『未来への大分岐』刊行記念)というのがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=EZN4MtLzx8o
 この出版記念の対談を見て、今まで巷に出ている興味が感じられる雑多な知識の断片などが、どういう風に考えたらいいのかなあ、ともどかしく思っていたのだが、(ベーシックインカムとかMMT理論とか)問題になっている事かどういう風に考えればいいのか話題になっていた。
そういえば何年か前NHK/BSで「欲望の資本主義」などという番組をやっていたが、この対談にも出て来るマルクス・ガブリエルという人の思想を扱ったものだったのか、などとも分かってきた。

 また、この対談の二人を見ると、斎藤幸平という人は、現在、なんと33歳という若さである。現代世界の話題の思想家やジャーナリストと対等に話し合う事が出来るなど若いのにすごい人だ。
この対談の時に、白井聡が山本太郎の「れいを新選組」を強く支持、期待を表明したのだが、斎藤幸平の方は、もちろんそれは同意したが、慎重に見ていく必要も語っていて、現在の「れいわ新選組」の状況を見ると、斎藤幸平の方が当たっている感じもするなど、とても冷静な落ち着いた感じがする人でもある。

 色々と前置きが長くなったが、そういう訳でこの本を読んでみた。
難しい概念がバンバンと出て話されているので、いまいち私には理解できなかったが、この出版記念の動画を見てからこの本を読み、さらに読んでからまたこの対談を見ると、だんだん理解が深まってくる感じがした。言葉の意味も調べたりしてもう一回これを繰り返したら、さらに良く分かるだろうという感じだ。

 この本で記憶に残っている事は、選挙だけが民主主義という風に日本では考えてしまわれているが、下からの民主主義というか、民主的な身近な運動、市民運動、社会運動、のようなものと政治リーダーとが相互に学び合って社会を変える様な動きが欧米では出てきていて、そういうものが新しい政治の動きなのだという。(サンダースなども全くカリスマ的ではなくこういった新しい形の基盤に出て来た人だという)日本では頼りになるカリスマ的なリーダーが出て皆を引っ張ってくれるのが政治という考えがあるがこれは間違いで、下からの運動と学び合っていくのが新しいタイプの政治家なのだという。選挙だけが民主主義と考えるとやせ細った貧しい民主主義になってしまう。なるほどそうかもしれないなと反省する。
 今、日本でも地域での自然エネルギーなどを使った地域循環型のような運動が原発事故後出てきているような気がするがそういった感じの物などが市民運動の良い例だろうか。反原発の市民運動も一時、盛り上がった気がするがその後、下火になって来た感じもする。色々な権利を求めての運動などは外国のニュースでは良く見るが日本ではまだまだ少ない気がする。

 また、本でも、この動画でも斎藤氏が繰り返し述べている「地球温暖化」という課題への重視が非常に新鮮に感じ共感もおぼえた。
斎藤氏は、「地球温暖化」について言及しない「左派」は世界レベルから言うと「左派」では無いと言える、と言っていた。
私も、日本のいわゆる革新政治と言われるものの何か物足りないところはそれなんだなあ~と共感した。「グレタ」さんという少女が「地球温暖化」に反対の声を上げたが、そういう動きが現在の世界の根源的な問題を示しているのだとあらためて実感した。

 ちょっとした部分だが、対談の中で「アメリカの福音派はダーウインの進化論を否定している」という事を知り(あのトランプ大統領の岩盤支持層として良く聞く福音派だ)それが、日本の安倍政権の岩盤的な支持者(今度は菅政権岩盤支持者に変わるのだろうか?)の日本の歴史の事実に対する否定と相似形なのに気がついた。
 ダーウインの進化論を否定しているのと「日本の歴史の事実」を否定する心理や思想の相似はどこから来ているのか?どういう根底があるのだろうか?

 菅政権の支持率は60%だという。安倍政権下であれだけの事をしていた人にそれだけの期待をしている国民がいるという事だ。
 言論の自由とか、公正・正義、とかいった事はどうでも良いと人々は考えているのだろうか?