今週の面白かった二つのテレビ番組

 このごろNHKテレビで「逆転人生」という番組をやっている。
 今週の月曜の「逆転人生」は、冤罪の話だった。

  内容はこのような話
 「逆転裁判!警察のウソを暴け」
『警察官がついたウソに柴田理恵・高橋真麻が大激怒!タジタジのMC山里亮太が思わず「逆転するんで、しばしお待ちを…」。駐車違反を取締り中の警察官と言い争いになった二本松進さん。なんと警官に暴行したとウソをつかれ、公務執行妨害で逮捕された。無実を証明するため裁判に訴えるも、証拠がなく、絶体絶命の危機に。しかし執念で戦いを続け、ついに警察のウソを暴く決定的証拠がみつかり、大逆転勝利へとつながった!』
 
 最近、「裁判所の正体」という本を読み、日本の司法、検察、などについてその実像を知る事が出来たのだが、この「逆転人生」の再現ドラマを見ると、「ああ、百聞は一見にしかずなんだなあ~、本当に検察や裁判所などもこんな感じなのだろう」と納得できた。
 番組で、コメンテーターが、国民がもっとこういった警察などの権力を見張る事をしないと冤罪は減らないと言っていたが、そういう事なのだろう。
 
 「裁判所の正体」の著者の瀬木比呂志氏が、別の著書で日本人は、「崖っぷちで無邪気に遊ぶ羊の群れのような」と書いていたが、警察・検察・司法などの権力を監視するなどという意識が全く無く、権力を従順に信じこんている日本国民の現状を嘆いていたのだろう。

 この番組で、ゲストが「え~そんな事あるの」と驚いて怒っていたが、私はこの本を読んでいたから、「こういう事もけっこうあるのだろうな」と思いながら見ていた。
 二本松さんは現在、冤罪の実態を講演などで語り、こういった現状を人々に伝えている様子も紹介されていた。
 そんな意味で、この番組はとても啓蒙的な番組になっていたと思う。

 どこかの国では、レイプ事件を起こしておきながら、首相のヨイショ本を書いた人という事で逮捕寸前だった人が、警察だかのトップから逮捕差し止め命令が出され、その人は無罪となっているという事も見たり、また、首相の友達のために色々な法律を無視するような金銭的な便宜が図られ、それを野党に追及されても公文書を改ざんさせたり削除したり、それらが全く罪にならないように国の検察が動いていたりする姿も見ることができる。
 そんな国では現在、何でもありなのだろなと思わざるを得ない。上が上ならその風潮が末端まで汚染されると思うと本当に恐ろしい事だ。
 そんな国では人を罪にするのかしないのか、権力者の勝手に出来る国なのだろう。

 まさか日本ではそんな事は無いと思うが・・。
 
 水曜日にはNHK・BS3で良く見ている番組「英雄たちの選択」を見た。

 内容はこのような話
 大坂が燃える!大塩平八郎の乱~世直しの衝撃~
『今からおよそ180年前、大坂の町が焼け野原と化した事件があった。天保8年(1837)、大塩平八郎の乱である。幕府をも、震かんとさせた大事件の真相に迫る。
天保の大飢饉(ききん)により天下の台所とうたわれた大坂城下にも浮浪者や餓死者が溢れた。大坂町奉行所・元与力の大塩平八郎は貧民救済を掲げ、私塾の門下生と武装蜂起した。乱はわずか半日で鎮静化したが、武士と農民が連合し、白昼、銃撃戦を展開したことにより、江戸幕府をはじめ、各方面に多大な衝撃を与えた。大塩の世直しのメッセージが、時代にどのような衝撃を与えたのか、新発見の資料から、事件の真相を探る。』
 という物

 大塩平八郎の乱というのは、教科書にも出ているしだれもが知っている事件だが、平成になって新資料が見つかったのだという。
 大阪の与力というのは、現在で言えば大阪警察のノンキャリア組のトップという立場だという。大阪は江戸時代、各藩が米をお金にかえた場所で日本の経済の中心であり、豪商が多く生まれていた。大阪に着任するキャリア組は、豪商から賄賂を貰い江戸に帰るとその金を使って幕閣としての出世をはたしていたのだという。

 新資料というのは、大塩平八郎が乱を起こす前日に、幕府に出した告発状が見つかったのだ。その内容は、幕府の中心にいる老中たちも加わり大阪商人を使って不正無尽を働いて幕閣が莫大な利益を得ていた事を、大塩が告発した手紙だった。その幕閣の中には後に天保の改革をした水野忠邦の弟もいたのだという。
 大阪の奉行所の長だった大塩はそれらの事実を知る立場にいたのだ。

 事件後、その告発状は幕府に届き、だれかによって開封されたが大阪奉行所に突き返され、その途中、山中で飛脚が盗賊に襲われ、書状は捨てられてしまった。ところがそれが民に拾われ、韮山代官所?だかに届けられた。その代官は驚いてちゃんと写しをとり、本体は幕府に送ったのだという。幕府はもちろん無視し、廃棄したのだろう。
 その写しの方がちゃんと今まで古文書の中に残っていて、平成の現代になってそれが発見されたのだという。

 どうして天保の頃、大塩は失敗すると分かっていながら貧民救済とは言えそんな無茶な事をしたのだろう、と私はちょっと思っていたが、大阪与力という立場で、幕府の中心の腐敗構造を知る立場にいた事を考えると、陽明学の塾を作り武士や農民を教えたりしていた本人の思想もあり、身を棄てて不正を正したという経過や気持ちが良く理解される。

 司会の磯田道史氏は、この武士や農民の混じった塾について、江戸時代は身分制度が固定されていたとは言え、学問の世界では、身分の垣根を越えて「輪読会」のような事が催されて、その中で自由な討論が出来た。知的な平等があった。これが江戸時代があれほど長かったがその割に国全体がわりあい腐敗していかなかった理由の一つだと思うと語っていた。

 現代は江戸時代と比べてもどうなのか疑問を感じると語っていたが、多分、科学的な事では平等に物が語られるが、一方、歴史や政治などの分野は江戸時代以下なのではないかという意味なのかなあ~、などと思った。
 現在、「日本と韓国との関係」「天皇制」などについて自由に学問的な話し合いがマスコミなどでも出来ているのだろうか?直ぐどこかから非学問的な感情的なクレームが来たり、政権が社会への批判的な自由な表現を押さえつけようとしている姿は、江戸時代以下と言えるだろう。
 「腐敗」という点では幕末と変わりないというかもっとひどいのかも知れない。
 上の不正を「見て見ぬふり」をする、「だまっている」という国民側の態度も問題だと話していた。
 
 この大塩平八郎の乱をきっかけに、民衆の一揆なども増えてきて、また下級武士を中心にした討幕への動きが始まり30年後には幕府が倒れる事になったのだという。

 先日の関西電力の原発の不正事件など原子力村が大きく関わっていて、江戸時代の幕閣の不正ではないが、マスコミではちょっと出て来ただけだが、政治家など政治の中心とか経産省の中心などもけっこう関わっているのではないか?

 この一週間、「桜を見る会」ではないが、政権の中心のあまりにもおかしな姿が目に見えるようになってきているが、今後、怒りを持った人たちが、大塩平八郎の乱のような大きな事件を起こすかも。
 そんなことまで期待してしまうような危険なレベルの日本になってきている感じだ。