福島第一原発は津波の前に壊れた 木村俊雄を読む2

 『隠されていた重要データ』の章

 木村氏は、東電事故調の5千ページもある膨大な記録をくまなく読み込んで、「何かおかしい、東電はすべてのプラントデータを公開していない」と感じる。

 それは、木村氏が東電在職中に日々、まさに仕事としてそのデータ解析を行っていた炉心内の水の流れを示す「炉心流量」に関するデータだった。
 それは、「過渡現象記録装置」という計算機が記録するデータで、航空機でいえば、フライトレコーダーやボイスレコーダーに相当するものだという。この装置は1~6号機まですべてついていた。木村氏が自身で日々データ解析していたその炉心の重要な記録が全く公開されていない事に気が付く。

 ところが、東電事故調は、この「過渡現象記録装置」のデーターを公開しないまま、「安全上重要な機能を有する主要な設備は、地震時及び地震直後において安全機能を保持できる状態にあったものと考えられる」と報告書で述べていた訳だ。

 木村氏は、2013年7月、記者会見を行い、公開質問状という形で東電に不足しているデータの開示を求めたが、「すべてのデータは開示済み」という回答だったという。

 ただその後、東電の廣瀬直己社長が記者会見で、木村氏の公開質問状の内容や炉心流量データが未開示であることについて質問された際、「すべてのデータを開示する」と表明したのだという。
 木村氏は、「おそらく廣瀬社長は、データの意味や未開示の理由を分かっていなかったのだと思います。」と書いている。とにかく運よく?そのデータが開示される事になった。

 航空機事故で「フライトレコーダー」や「ボイスレコーダ」の内容が公開されなければ素人でもおかしいと思うのだが、この「過渡現象記録装置」のデーターが無い、などと聞いても、木村氏で無ければ全くピンとこない。そういった事をよいこととして東電は国民から不都合なデータを隠していた事がよく分かる。

 データの保管と、情報公開の大切さがこういう所からもよく分かる。