「徴用工の真実」 早乙女勝元著 その一

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 現在問題となっている韓国の徴用工について知ろうと思い、読んだのだが、この本は中国人の徴用工の話であった。しかし、この本にはその話と、韓国のジャンヌ・ダルクと言われている柳寛順(ユグヮンスン)についての話に関連して朝鮮人慰安婦なども少し触れている話、その2つの内容であった。
 従って、今、問題となっている『韓国の徴用工』についての直接的な知識を得る事は出来なかったが、どちらも実際にその体験者に会ったり、現地を訪れて調べた事を元に書かれている。「徴用工」とはどんな物か、や韓国と日本の歴史を調べて行く取り掛かりには充分なる本だと思える。

 まず、『徴用工』の方だが、これは、劉連仁(リュウリェンレン)という中国人で、戦争中、『徴用工』として日本に連れて来られ、北海道の炭鉱で働かされ、そこから逃げ出して、終戦になっても気づかず、13年間北海道の山野を逃げ回って見つかり中国へ帰る事が出来た人の話だ。その人を助けるのに関わった北海道華僑協会の人や、中国へ行って劉連仁の家族、本人に会って取材して書かれたもの。
 「徴用工」の実態がしっかりと書かれている。

 この本を見て、私は大学時代に「茨木のり子詩集」で、この人の事を書いてある詩を読んだことを思い出した。ウイキペディア「茨木のり子」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8C%A8%E6%9C%A8%E3%81%AE%E3%82%8A%E5%AD%90
その詩は、「りゅうりぇんれんの物語」という物。

 今、手元にその詩集は無いので、ネットで調べてみると、
「茨木のり子りゅうりぇんれんの物語」で検索すると、その長い詩、全文が載っている詩のブログや、この詩を朗読している動画、など色々と出てきて、これだと確認できた。
 これは、知っている人たちにとっては有名な話なのだろう。

 さらに、ネットを調べると、
「生きる 劉連仁の物語」森白智子著 童心社という本がある事が分かった。これは児童書であり、この茨木のり子の詩をきっかけに、さらに児童にも伝えたい事があると書かれた物のようだ。これもいずれ読んでみようと思う。
 
 こういったように、まじめでまともな色々な出版物などが多くあるのだが、それが一般の人に知られていない。変な嫌韓本のような本が書店にもあふれ、大量にアマゾンなどの広告でも上位に出ている。私がこのブログを書いているが、同様な変な広告が私のブログによく載って来る。どういう所からそういった金が出てくるのだろうか?
 そういった世相が本当に問題で、よく「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉を聞くが、本当に現在の状況を現している。

「徴用工」について、もう一つ若い頃、読んだ記憶があるのは、本多勝一の「中国の旅」だ。これは手元にあったので、調べると、「11 強制連行によるドレイ船の旅」という章で、かつて、中国で捕まって徴用工にされた中国人の崔振英という人に取材したものが載っていて、この劉連仁と同じ『徴用工』とはどのような物かが、本人のインタビューで明らかになっている。

 ドイツでは、ナチスによるユダヤ人の強制収容や強制労働、大虐殺が良く知られているが、日本でも結局、ドイツのように機械の様な秩序を持って恐ろしい事がなされたという感じではないが、政府の「労工狩りの閣議決定」の方針に基づき、そういった「ドレイ労働」とも言って良い恐ろしい事が行われた。
 働けなくなった者はガス室へ、という物では無かったが、日常的による虐待や、栄養失調、などによる死は、ナチスと同じような残虐な事をしていたのだが、その事をドイツ人と違って、日本人はぼんやりとしか知っていない事にあらためて気が付く。
そこに根本の問題があるのだろう。

 この本から引用すると、
『1931年9月、いわゆる「満州事変」からはじまった日中戦争は、37年7月盧溝橋の銃声を契機に、全面戦争へと突入する。戦争が長びくにつれて、出征していく男たちが急増し、国内での労働力が激減していった。
このため政府は、38年に「国家総動員法」を公布して、戦争に必要な人的・物的資源の統制運用に踏みきらざるを得なかった。戦争遂行の目的で、国民生活のすべてが統制下におかれたわけだが、そのエリアは国内だけにとどまらなかった。まっ先に狙われたのが、植民地だった朝鮮半島で、39年9月から、朝鮮人労働者の動員計画が具体化する。
日中戦争が泥沼にはまったままで、太平洋戦争にまで拡大した42年11月27日、東条内閣は「華人労務者内地移入ニ関スル件」を閣議決定した。
すでに、中国東北部では日本軍が接収した工場や鉱山で、「労工狩り」「兎狩り」による徴用工の強制労働が先行していたのだが、いまや公然と国家政策になったのだった。』

 朝鮮半島はすでに日本の植民地であった訳で、戦争状態の中国の人と、朝鮮半島の人とは待遇など違っていた事は考えられるが、その辺りの事はこの本では分からない。
 次回は、この本に出ている話など実際の例をもう少し紹介したい。