CIA秘録 第12章を詳しく読む その一(第一段落の半分まで)

 最近、大西つねき著 「私が総理大臣ならこうする」という本を読んでいたら、CIA秘録という本があるのを知った。これはニューヨークタイムズの記者ティム・ワイナーが書き、2008年に出版された本だ。
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 アマゾンの紹介文では
「諜報によって第二の真珠湾攻撃を防ぐべく創設されたアメリカ中央情報局=CIA。だが、その60年に及ぶ歴史は、失敗と欺瞞の連続だった。トルーマンからクリントン、ブッシュJr.の時代まで、超大国の諜報機関がいかに転落の道を歩んだか、5万点を越す機密解除文書、300人以上の証言など、すべて実名の情報で明らかにする驚愕の書。」
という物。

 特に日本の戦後の部分に興味があったので読んでみた。とは言え日本のように公文書も消えてしまうような国と違い、膨大な公文書なども使って書かれている豊富な内容だ。世界各国でのCIAの活動の事を書かれていて、人物について調べたり事件の歴史を調べたりしながらしっかり読むのは戦後世界現代史などに興味のある人でないととても大変そうだ。
そこで私は気になっている12章だけを詳しく読んでみようと思った。

 昭和の色々な政治状況など日本人が書いた本はいくつか読んでいるので断片的な知識はあるが、CIAがどのように関わっていたのか、などの知識は噂話的にちょっと見た程度だ。これを読んで驚いた、というか、「やっぱりそうなんだなあ日本の戦後は」という思いが強くした。ぜひ日本国民が知るべき内容だと思った。

 以下、少し丁寧に引用などしながら紹介しよう。

『第12章「別のやり方でやった」自民党への秘密献金』

 「別のやり方」というのは、これより前の章で色々な方法でスターリンのソビエト共産主義勢力が広まっていくのを防ぐために様々な防諜活動や妨害活動などをやってきたが、それとちょっと雰囲気が違う方法で、という意味だろうか?

 私の読んでいる文庫本では、4つの節に分かれている。便宜的に一つずつ分けて見てみよう。『~は直接文章から引用~』
まず、1節目は長いので、さらに二つに分け、その最初の部分を要約する。

 マッカーサーは、CIAを信用せず、1947~50年まで日本のCIAを弱体化させていた。マッカーサー統治の時代は、マッカーサー配下のウイロビーの日本スパイとCIAのスパイと2系統が併存していたという事だ。その後、『~CIAは、このスパイ網を、元帥から受け継ぐことになったが、これはいわば毒の盛られた遺贈品だった』
ということで、まずマッカーサー独自のスパイ網について書かれている。

 マッカーサーを軍事諜報部門で補佐していたのがチャールズ・ウイロビー少将であり、彼は日本人スパイとして、戦争終結時に参謀本部第二部長で諜報責任者だった有末精三を採用した。有末精三とは、こういう人 ウイキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E6%9C%AB%E7%B2%BE%E4%B8%89

 有末陸軍中将は、1945年の夏、戦勝国に提出するための諜報関係資料を秘密裏に集めていて、それと引き換えに戦犯として起訴される事を逃れようとした。米陸軍でも最も右寄りだったウイロビーと結びつきそれは成功した。有本はウイロビーの日本でのスパイ組織の長となった。ウイロビーは、日本の共産主義者に対する隠密工作を計画し、実施せよと命じ、有本は参謀次長の河辺虎四郎に協力を求め、河辺は、高級指揮官のチーム編成にとりかかる。
河辺虎四郎はこのような人、ウイキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E8%BE%BA%E8%99%8E%E5%9B%9B%E9%83%8E

 次に、ジョージ・ケナンの提言について書かれている。
1948年 ジョージ・ケナンは(ケナンはこういった人・・・ウイキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%8A%E3%83%B3
 日本の産業を解体し、解体した機材を戦時賠償のために中国に送るというマッカーサーの考えにケナンは疑問を呈し、共産主義者がいまにも中国を制覇しようとしている時にそうするのは良くないと主張し、その結果、1948年の末までには、日本への米国の懲罰的な戦争犯罪追訴の動きは緩和される。

 ウイロビーはそういった流れの中で日本のスパイを使って「タケマツ」という正式な計画を発足させた。「タケ」は海外の情報収集を目的とし、「マツ」は国内の共産主義者が対象だった。河辺は、ウイロビーに1000万を要求し、北朝鮮や中国、ロシアなどを探ると約束したが、それは資金作りのためでいんちきくさいものであり、CIAもそれに気づきウイロイー配下の日本人スパイの監視を始める。現実は資金作りのためアメリカをだましていた程度の物だった。
『たとえば、二人は台湾の国民党のもとに日本人を送り込み、その代わりに大量のバナナや砂糖を入手していた。これらの食料は日本国内で転売され、巨額の利益をもたらした。』
(二人とは、有末と戦時中マラヤで厳しい軍政をしいた協力者の渡辺渡少将)

 また、有末たちは、『有末とその部下が在日の共産中国の工作員に情報を売っていた』
ウイロビーは有末を信用して色々と情報を話していたのだが、『朝鮮戦争当時の有末のグループには共産中国の工作員が潜入していたのだった』というくらいな物なので、
『朝鮮戦争への中国の参戦を、ウイロビーとそのスパイはむろん、CIAも予見できなかった。』『-朝鮮戦争中、CIAは、ほとんどのケースで、真に重要で戦局を変えるような情報を取得することに失敗していた―。』
 と、そういった事で、以上の内容は、アメリカのスパイ活動は、大した成果を上げられなかった事と、戦後すぐの混乱期に、日本の一部の旧高級軍人がアメリカのスパイとなって莫大な工作資金を得ていた事を知る事ができた。

 一段落の後半では、いよいよ本題の児玉誉士夫、岸信介、などの事に入っていく。
次回へ続く。