「信州の里山トレッキング」と農薬の空中散布

   「登山道整備」の鳴海さんから、『今度、冠着山の「鳴海新道」について、「信州の里山トレッキング」という本の著者の林さんという方がその本に載せても良いか聞きに来られました。良かったら見て下さい。』
 と、電話があった。

  話を聞いているうちに、その本の著者の林さんという方は、以前からネット上で時々見ていた「MORI MORI KIDS」
http://www41.tok2.com/home/capino/morimorikids/
現在は「モリモリキッズ」というブログもされているようだ。
http://blog.goo.ne.jp/morimorikids
 の作者の方と同じ人だ!と直ぐに分かった。

  地元の山について、その自然、歴史、をとても豊富な知識で紹介されていた。またその写真などが大変美しいものであり印象に残っていたり、時々興味深く読んだりしていた。
 どんな人なのだろうか?などと興味も感じていた。

  さっそく、鳴海さんに紹介されたその本を買ってみると、著者は林盛幸さんという、ナチュラリスト・ネイチャーフォトグラファー・他、などの方であり、従来の里山ガイドブックとは一味違った、里山を巾広く学ぶ良い本だと思った。
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  さて、本題はこれからなのだが、その電話で鳴海さんが「千曲市で松枯れの対策にネオニコチノイド系農薬の空中散布をしているが、その事について林さんはとても心配しているようだった。」との話であった。

 松枯れについては私も定年以前、勤めていた頃から、原因は何なのだろう?と気になり、色々な情報を見ていた。当時作っていた自分のHP「上小30山」にも塩田の松枯れについて書いたりしていた。(今もあるが)

  上田では、しばらく前に、子供を持つ母親たちが空中散布の反対運動を起こし、空中散布は中止となっていて良い事だなあ、と思い、また松枯れへの私の関心も次第に薄れてきたりしていた。
  ところが、今年は、上田市でもまた松枯れがひどい。また、空中散布再開、などと言い出せば良くないなあ、などと心配になっていた。

  そんな時に、この千曲市でのネオニコチノイド系農薬散布の話を聞き、またこの松枯れ問題が気になってきた。

  ちょっと前、ミツバチの大量死、というのが世界中で話題となったが、その原因がこのネオニコチノイド系農薬と聞いた記憶がある。
 私も漠然とした不安は感じていたのだが、最近の放射能汚染への不安が大きく注目され、こちらは薄れてしまっていた感じだ。

  もう少し詳しくこの農薬の事について知りたいと思い、林さんに直接メールで聞いてみる事にした。すると丁寧なご返事をいただいた。
 以下、重要な内容なので、一部をコピーすると

『 ~ 松枯れ病の空中散布に限らず、ネオニコチノイド系やグリホサート系農薬の危険性は、何度もブログ記事にしていまして、下記の記事の下の方にそのリンクがあります。
http://blog.goo.ne.jp/morimorikids/e/3b3efa7fa07d4348e865a74451f33c79
記事へのリンクや引用は、自由にしていただいても結構ですが、
私は農薬の研究者ではないので、記事中にリンクしている専門家のブログや記事をぜひ御覧ください。
特に下記のまとめは、非常に分かりやすいと思います。
また、ネオニコチノイド系で検索すると、たくさん記事がヒットします。

◉必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間
http://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2011/03/Neonicotinoid2012-11.pdf
◉ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク
http://no-neonico.jp/kiso_index/

先日、妻女山の奥へ調査に行ったのですが、千曲市側は虫がほとんどいませんでした。本当に異常事態です。帰郷してから7年ずっと定点観測しているので、その異常さが分かるのです。ちょうど長野森林組合の人達が松枯れ病の赤松の伐採と燻蒸処理をしていました。そのひとりの若者と話をしたのですが、やはり虫が異常に少ないと言っていました。
彼の話では、空中散布をすると、樹上から虫がボタボタ落ちてくるそうです。
彼も空中散布は止めないといけない。危険すぎる。人的被害が必ず出ると言っていました。~ 』
 などの内容である。

  原発事故の後、こういった環境問題も、原発事故と底通している物があると思い「奪われし未来」「沈黙の春」などの本を読み、生物(人間)にどのような害が出て来るのかについて改めてその基本を知ろうとしたが、今、日本(人類)の本当の脅威は、核廃棄物の放射能や、こういった農薬や、環境ホルモン、など人間が自らの手によって作り出した合成化学物質などの物なのではないか、と思う事もある。
 
  松枯れの原因が「マツノザイセンチュウ」であって、それに対して農薬の空中散布をすればよい、などとまだ本気で考えて実行している自治体は、今まで、どのくらいの量の有害な農薬が日本の松林に投下され、その効果が上がったかちゃんと調べましたか ?
 まして、その生態系への害など考えていますか?

  色々な情報を科学的に学び、注意深く、真剣に未来の事を考えて決断しない行政の姿勢は、上はかつての公害から始まり、原発再稼働、から下はこういった空中散布に至るまで、本当に意識が遅れている日本である。
 
  松枯れの原因は、大気汚染の場合もあるし、長野県などの場合は、おそらく林床の富栄養化が一番の原因なのでは?と感じている。貧栄養のハゲ山を好むという松で、昔は、たきぎ拾いをしたり、「サデさらい」と言って焚き付けとして枯れた松葉を集めていたので、林床は大変きれいであった。ところがそういった事をしなくなって久しく、松林の林床は、落ちた松葉ばかりでなく、他の雑木が生えてきて、腐葉土がたくさん積もったような状態だ。貧栄養を好む松にとっては、とても厳しい状況だ。
 そこへ持ってきてかつては日本の工業地帯から、今は中国など大陸側から汚染物質が雨や雪とともに腐葉土の中に沁み渡る。ハゲ山で松と共生しているマツタケなどの汚染に弱い(他にもあると思うが)の菌根菌も滅んでしまい、松に栄養もいきわたらなくなり元気も失われ、ひん死状態になる。
 そういった主原因があって、そこへマツノザイセンチュウなどが入ってとどめをさす場合もあるのだろう。などと私は考えているのだが・・。

 空中散布で生態系、ひいては人間へと影響する毒をまくリスクを考えたら、仮にザイセンチュウを媒介するカミキリムシを多少殺せたとしても、(林さんの情報では、そのマツノマダラカミキリ自体が、現場でそれほど見られないのだという)松枯れ対策に農薬の空中散布など全くやるべきではない事は明らかだろう。